竹の話題と不思議
最近、竹に関する話題を耳にすることが多い。竹合板や平板加工した床材料をはじめ、竹の繊維とプラスチックとの複合新素材であるとか、樹脂を含浸させた強靭な竹釘、あるいは竹炭や竹酢液のほか、3月に開催した愛知万博では日本政府館建物に竹が多用されているという。一方で竹林がまわりの民家やスギの植林地に侵入して被害を及ぼしていることも問題になっている。この被害のほうは、人手不足や竹の利用が進まずに竹林が手入れされずに放置されて荒廃している現状に原因があるようだ。
ところで、竹が使われているところ、といってほとんどの人がすぐに思い出すのは、弓、竹刀、笛や尺八、釣竿、ちょっと年輩の方では傘骨、扇骨、物干し竿や梯子、あるいは住まいにおける網代天井や簾などであろうか。その他にも、箸や串、筆や箒の柄、垣根などに用いられているイメージが浮かぶが、茶道の道具にも竹は必須のものである。また、建築材料としての土壁の下地はもちろんであるが、工事現場の足場丸太として使われているようすを東南アジアでは今でも目にすることがある。
竹炭(モウソウチク)の横断面のSEM写真
竹そのものの組織とほとんど変わらない。中央部が維管束で周囲を埋めているのは柔組織で通常は細胞内にデンプンが貯蔵されている。
竹というと、いろいろの???が思い浮かぶ。例えば、竹の節間の中は真空なのか、ガスが存在するとしてその成分はどうなのか、気になるところである。分析した結果によると、空気に比べて窒素の比率はほぼ同じだが酸素が少なく炭酸ガスの割合が高いとされている。その理由としては、竹の生理的な呼吸作用で酸素が消費され炭酸ガスが排出されたという意見がもっともらしい。こういった興味をひく話題は上田弘一郎先生の「竹と日本人」NHKブックスに詳しいが、タケノコから竹への成長もそのひとつであろう。もちろん竹の太さはタケノコの時点で決まっているが、上への成長は節間が伸びることによっておこり、しかもタケノコの下部の節間がまず成長し、順次上のほうの節間が伸びることによって完成する。いったん成長した竹は年を経ても太さや長さは変わらない。すると樹木と異なり年齢を数えるのはどうするか。同書によると、節から生えた小枝の落ち跡を数えたり表面の性状でほぼ判断できるという。
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